パチコトペニシリハセジ
ハママツデヒフカオキイタ
本当の覚え方は「パチンコとペニシリンはせじ」です。
何やら暗号のように聞こえるこの語呂ですが、平成10年までは伝染病予防法という法律がありまして、我が本業の資格を得る際に受ける教科の「伝染病学」という科目でこれを習います。
自分が資格を取得した当時は感染症に対して「法定伝染病」・「指定伝染病」・「届出?伝染病」このような分類をしていました。
我々の業種は公衆衛生に携わる仕事でありますので感染症に対する知識は必須の科目となります。
この旧・伝染病予防法に規定されている法定伝染病の語呂合わせを対照するとこうなります。
パ→パラチフス(細菌)
チ→腸チフス(細菌)
コ→コレラ(細菌)
ト→痘瘡(天然痘・ウィルス)
ぺ→ペスト(細菌)
二→日本脳炎(ウィルス)
シ→猩紅熱(細菌)
リ→流行性脳脊髄膜炎(細菌)
ハ→発疹チフス(リケッチア)
セ→赤痢(細菌)
ジ→ジフテリア(細菌)
以上、旧・法定伝染病を覚えるための語呂合わせです。
こう見ると、旧・伝染病予防法に規定されている疾病は細菌性感染症が多いですね。
ウィルス性の病気はあまり認識されていなかったのだと思います。
この法定伝染病だった腸チフスは吾輩の曽婆さんが戦後の衛生状況の良くない昭和21年に罹ってしまいそれにより命を落としてしまった病と聞きます。
戦後直後の栄養が悪く不衛生な時代だったんで仕方なかったんでしょう。
またメリーというアメリカの人物が腸チフス菌に罹り治ったものの健康保菌者となり彼女が料理人として働いた場所に腸チフスの感染が相次いだという「チフス・メリー」の話があります。
腸チフス菌というのはこういう不顕性感染の特徴があるのですね。
以下参照。
(チフス・メリー)
猩紅熱とは現在で言うところの溶連菌感染症のようなものです。
良い抗菌剤の無かった時代は恐れられました。
特徴としては高熱が出て舌がイチゴのような舌になります。
溶連菌とは溶結性連鎖球菌の事を言いペニシリン系やセフェム系の抗生物質がよく効きます。
その他では痘瘡(天然痘・ウィルス)や日本脳炎以外はほとんどが細菌感染症ですね。
痘瘡はその昔どうしようもない病気で多くの人が命を落としました。
助かったとしても体中に痘痕(アバタ)ができて非常に醜い姿となってしまいました。
しかしジェンナーが種痘を開発した結果、現在に至って制圧に成功しています。
次いで指定伝染病というのがあって・・・
流行性灰白髄炎(ポリオ)
ラッサ熱
がありました。
ポリオなどは経口感染し衛生状況の良くない昭和の時代は問題になったのでしょう。
経口ワクチンが開発されて事態が一気に好転しました。
次いで記憶が定かでなくなってしまっている届出?伝染病(確か罹患した患者を診察した医師は保健所に届け出しなければならなかった)があるのですが、これの暗記の語呂合わせですが、確か・・・
ハ→破傷風(細菌)
マ→マラリア(原虫)
マ→麻疹(ウィルス)
ツ→ツツガムシ病(リケッチア)
デ→伝染性下痢症(ウィルスなど)
ヒ→百日咳(細菌)
フ→フィラリア(糸状虫)
カ→回帰熱(スピロヘータ)
オ→黄熱(ウィルス)
キ→狂犬病(ウィルス)。
イ→インフルエンザ(ウィルス)
タ→炭疽(細菌)
だったと思う。
もう何十年も前に勉強したことなので記憶が定かじゃありません。
間違ってたらごめんなさい。
尚、結核に関しては結核予防法という法律がありまして別格扱いのようです。
その昔は結核に罹りますと仕事が出来なくなると言われキツく感染に気を付けるよう言われたものです。(結核は現在でも問題になっています)
治療方法に関してはお医者さんの領域になりますので勉強はしません。
ただ、公衆衛生に携わる者として細菌感染症・ウィルス感染症・その他感染症ということで何の病原体によって感染症を起こすのかを勉強しました。
現在は感染症予防法という新しい法律に改められて感染症の分類が一新してこの語呂合わせは全く通用しなくなりましたが、感染症に対しての知識として今でも役に立っています。
この伝染病学は確かお医者さんが教師で同級生の多くの方が鬼門としているようで勉強に苦労されていましたが何故か自分は割と頭に入って行ってテストは満点近くを取れました。
何となく相性が合ったんだと思います。面白かったですよ。
この勉強は好きでした。
学校時代にテストの余白にどこぞで見たATL(成人T細胞白血病)の事を「ATLとは何ぞや?」と質問して答案用紙を出したところ、事細かに先生が説明を書いて戻ってきたのを覚えている。
因みに成人T細胞白血病はヒトT細胞白血病ウイルス1型の感染によって起こります。感染症なんですね。
当時は肝炎なんかもまだウィルス感染によって起こることはあまり聞かれませんでした。
現在は色々な研究が進んで聞いた事も無い感染症が出てきています。
この学生時代に経口感染・飛沫感染・飛沫核感染などを勉強した。
別の教科で「消毒法」なんてのもありまして器具の消毒について勉強します。
煮沸消毒はもとより、当時はクレゾール石鹸液や逆性石鹸液、界面活性剤やエタノール消毒、次亜塩素酸ナトリウム消毒を学んだ。
クレゾール消毒は細菌には効果はあるがウィルスには効果がない。
逆性石鹸液は広範だが結核菌や真菌、ウィルスに対する消毒作用は低い。
次亜塩素酸ナトリウムは金属類を侵すため刃物を消毒する場合は気を付けなければならない。
エタノールは100%ではなく70%のものが効果が強いなど・・・
色んなことをお勉強しました。
今、新型コロナウィルス感染症が蔓延して世を悩ませていますがあの時勉強したことを思い出した。
人間の歴史は感染症との戦いでした。
こういったお勉強をしておいて良かったと思う。
知識を得ていれば慌てなくて済む。また、その知識があればマスコミであれ噂であれ、それが嘘か本当かある程度見抜くことができて惑わされなくて済む。
感染症の分類などは変わってしまいましたが感染の様式は昔から言われる飛沫感染であり消毒法などの基本は全く変わっていません。
現在・・・
※マスクをする。
※手指を洗い消毒を行う。
※密になる人ごみには行かない。
至極もっともだと思います。大勢の方がそれを実際に行っておられる。
一人一人の感染予防対策が必要なことを大多数の方が知り行っている。
なので我が国の新型コロナ感染はある程度抑えられているのだと思う。
どこぞの国の元首のように自らの不注意によって感染し強がりを見せ「気合で治った」などという欺瞞は病気には絶対に通じません。
嘘ではなく本当のことは何かと言うことを見抜き、そしてみんなでこの疫病を克服し一刻も早く元の生活に戻れるようにしたいものです。
パチコトペニシリハセジ
改めて思い出しそう考えるのでありました。